【2006年 第3回】葬儀、ところ変われば・・・相続
赤坂 慎二 (アカサカ シンジ)
私の田舎は宮城県のとある田園風景の広がる小さな町です。
祖父、祖母も、もうずいぶん前に亡くなりましたが、祖父と祖母の葬儀は御近所の方々がすべて取り仕切ってくれるという形で行われ葬儀屋さんはいなかったようです。
一番印象に残っているのは葬儀前後には動物性のものは食べてはいけないということでした。
野菜のおわんにお漬物、おひたしと育ち盛りの私にはちょっときつかった思い出です。
地域によって葬儀も異なる
母親にその地域での葬儀の話を聞くと、親戚は白装束で額には三角形の布をつけ、大きな数珠のようなものをみんなで回しながら故人を偲ぶ歌を歌ったということです。また、泣き女なるものがいて、大泣きしながら葬儀を盛り上げる?ことも行われていたようです。
もともと、葬儀というのは、部落での儀式という意味合いが強かったと思われますので、その名残りで、私の田舎のようにご近所の方々が取り仕切ってくださったり、その地域での特性が強く出たりするような気がします。
その他の地域でも、知り合いの人の話だと奄美地方では亡くなったら土葬にして、数年経ったら掘り起こして骨を磨くという風習が残っているというし、原野で荼毘に付す地域もあるということです。
それから地域特性かどうかはわかりませんが、赤ちゃんがおなかにいる夫婦は葬儀に出てはいけないとか、火葬しているときに出たお菓子は持って帰ってはいけないとか、いろいろな決まりごとがあるようで、どれがどこの風習で、どんな意味があるかは定かではありません。
最近の葬儀は・・・
このように地域の特性が強く出る葬儀ですが、最近は徐々に、画一化され、儀礼的になり、葬儀の地域特性が薄れていっているような気がします。
さらに最近では、その画一化された葬儀を、自分らしいものにしたいと思う人が増えているようです。
私も自分の葬儀は家族と本当に親しかった人だけで、好きだったあの曲を聞きながら・・・なんて思ってみたりしています。
昨年、義理の父が亡くなり都内で葬儀が行われましたが、今の葬儀には、じっくりと故人に感謝し、その生き様を考える機会がないような気がしました。
大切なことを忘れていないか、田舎でのその風習にその答えがありそうな気がします。
【2006年08月08日00時00分】
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