【2013年 第1回 最近の相続問題の動向】相続の実際の現場からレポ
竹原 庸起子 ⇒ プロフィール
相続専門のファイナンシャルプランナー・行政書士の竹原庸起子です。
これからは連載コラムとして「相続」に的を絞って、案件例や法律面、ライフプラン面での視点などを数回にわたってお送りします。
まず第1回目の今回は「最近の相続問題の動向」ついてのお話です。
大相続時代の到来
大相続時代の到来、すなわち少子高齢化が猛スピードで進んでいます。総務省の国勢調査によると、2010年は20歳から64歳までの現役世代2.6人で65歳以上
の高齢者1人を養っているのが、2060年には1.2人で老人1人を養っていかなければならなくなります。
これは、社会保障費の増加と年金の減額という問題はもちろんのこと、大相続時代の到来を指すのです。
また最近では核家族化、家族態様の多様化(事実婚の増加、シングルの増加)により、相続が発生したら昔のように子どもたちが相続するケースばかりではなく、
兄弟姉妹・甥姪が相続するケースが多くなることにつながり、最近では相続の基本についてや遺言書の書き方セミナー、エンディングノートについてのセミナーが盛況です。
「相続」への関心が高まる中、相続問題を「相続開始前」と「相続開始後」とに分けて、最近の相続問題の動向、特筆すべき相談事例についてお話します。
相続が発生する前の相談
まずは「相続が発生する前」について私が実際に受けた相談は次のようなものがありました。
・自分が死んだら財産は法律的にはどうなるのかということ。
・自分の望むような老後を送り、死ぬまでは安心した生活を送りたいが、死ぬまで一日たりともお金
に苦しみたくないのでどのように計画的に今ある資産を使っていけばいいのかということ。
・子どもたちには財産を残したくないが借金も残したくないがライフプランをどのように立てたらいいのかということ。
・親も配偶者もすでに亡くなっていて、子どもはいない自分の財産は誰のものになるのか、甥っ子に全財産をあげるためには
どうすればいいのかということ。
・身寄りのない高齢者も増加。相談相手としては介護ヘルパーや介護施設職員が多いが、その人たち
は介護面以外のことは仕事として受けることができないが、誰に相談すればいいのか。そして、万
一自分が認知症になったり要介護状態になったときは、誰に頼ればいいのかということ。
・相続人のうち長男は昔から非行がひどく、何度も親に暴力をふるって来た。相続人から外す方法は
ありますかということ。
そして次に「相続発生後」についての相談は次のようなものがありました。
・相続税がかかってしまった!しかも現金がなく不動産しかないので、どうやって税金納めたらいい
のかということ。
・親・妻・子はすでに亡くなっていて、兄弟姉妹も高齢。甥姪はほとんど交流ないという人が亡くな
った。結局相続人が誰か調べると、相続人が19人!一度も会ったことのない相続人へ百万円もの遺
産が渡ってしまうということ。
・実際に亡くなる前には相続人の間でおおよそ遺産の分け方を決めていたのに、遺産分割の段階にな
ると翻したということ。
・遺言書が二つ出てきた!どうなるのかということ。
・死後2ヶ月で発見された。相続人は生き別れた子ども1人。遺骨は引き取らないが財産は全て欲しい
がそれでいいのかということ。
・戸籍上の子どもは実は自分の子ではないことがわかった。その子には財産が1円もいかないように
したいができるのかということ。
このように最近の相続問題や悩みは複雑になっています。
いずれやってくる相続問題に悩む人々はその相談はどこでするのがいいのでしょうか。
そして、身内が亡くなり精神的に辛い思いを抱えた中、放っておくことができない相続手続きを進めなければならない
なか、仕事や家事、育児などで自身があまり動くことができないという人が多いですが、このような人々は、いったい誰に相談すればいいのでしょうか。
相談先がその後のみなさんの人生の結果を変えてしまうかもしれません。
次回はその相談先についての私なりの見解を述べたいと思います。
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