【 2010年 第2回 】 つれづれマネー招き録③在宅介護のあら・まぁ・ビックリ!
加藤 文子⇒プロフィール
日頃、感じていること、気になったことを書き綴ってみたいと思います。
第3回目は要介護になった身内を通して知った「在宅介護のぎもん発見」です。
介護保険の要介護認定までは約1ヵ月かかる。
入院している間に、介護保険の申請を行い、要介護認定を受ければ、在宅介護を開始してすぐに介護保険が適用され、かかる費用の1割負担で済みます。
ところが、通常は入院中にできることを知らない場合が多いのです。
介護保険の申請窓口は、土・日・祝日休み。
通常、介護保険の申請や相談は、その対象となる人の住居地がある市区町村の「高齢福祉課」や「介護保険課」など介護保険の担当窓口です。
ところが、開設は基本的に平日のため、働いている人にとっては使いづらい面も。最近、役所では平日のごく特定日ですが夜間の受付時間延長や月1回程度、土曜開設の所もあります。
しかし、小規模な企業等では、休日は日曜のみの場合も少なくありません。
高齢化が進み、これからますます要介護者が増えることを考えると、行政の窓口は、隔週での土・日の開設をぜひお願いしたいところです。
介護保険の申請窓口は、市区町村の役所・役場でなくともできる。
介護保険の申請や相談は市区町村の介護保険の担当窓口だけではありません。
その地域に数ヵ所ある「地域包括センター」と「在宅介護支援センター」でも、介護保険の申請や介護に関する情報提供等を得ることができます。
しかし、身内の居住地にある「地域包括支援センター」はすべて土・日・祝日休みの状態。
また、「在宅介護支援センター」ではごく一部、土・日が開設されていたものの、介護相談担当者は平日のみなので、平日に来所をという所もありました。
地域により違いはあると思いますが、やはり行政の窓口同様に、隔週での土・日の開設をぜひお願いしたいところです。
手配・調整はケアマネージャー経由でも、契約は業者ごとの個別契約に。
要介護認定を受けると、在宅介護の場合には、在宅介護支援サービスを実施する事業所の中から事業所を選び、契約することになります。
ケアプランの作成は、その選んだ事業所に所属するケアマネージャーが作成します。
おむつの交換や身体介助などを行ってくれる訪問介護、通所介護(入浴やリクリエーション、リハビリなどを日帰りで行うデイケアサービス)、短期入所生活介護(泊まりで介護を行ってくれるショートスティ)など、それぞれの手配・調整を1人のケアマネージャーが担当しますが、各サービスを受けるのには、その提供会社とまず個別に契約を結ぶことが必要になります。
サービス内容の説明にはじまり、要介護者との面談、契約書の作成など、思った以上に時間を要し、そのほとんどが平日の昼間に行われるので、これまた仕事を持つ身には大変な負担と労力となります。
介護支援サービス業者は多数あれど、ショートスティできる所はわずか。
身内のケアプランの中に、当初ショートスティは入っていませんでした。
ところが、実際の介護の担い手となったのは家族等の諸事情もあり、会社員のHさんで、介護のローテーションを組むことができない状態でした。
それを知り、ショートスティができるところを探し、見学に行くようにすすめましたが、その数の少なさは異常と思えるほど。
泊まりはサービス事業側の負担や責任が重く、さらに設備の充実が求められるので少なく、2~3ヵ月前から予約を受付、公的な施設ではショートスティは抽選という状態でした。
ケアプランで訪問介護を担当するヘルパーさんですら、日曜日が休みなのに、介護者の休みが組み込まれていないというのは、在宅介護のブラックホールだと思いました。
ショートスティは原則、家族の送り迎えの付き添いが必要。
ショートスティは特別養護老人ホーム(特養)や介護老人保健施設(老健)、また民間のショートスティを行うサービス業者などがあります。
身内が利用した中で、初回の送り迎えのみで済んだのは、ある民間業者だけでした。
特養では初回利用は必ず家族の送り迎えの付き添いが必要、次回からはどうしても難しい場合は任意。老健は毎回、必ず家族の送り迎えの付き添いが必要という条件でした。
大切な要介護者をお願いするわけですから付き添いは当然というのもわかりますが、やはり仕事を持つ身には大きな負担と労力であると実感しました。
勤労者が在宅介護をする場合、やがて介護のために仕事をやめなければ立ちゆかなくなる…ドラマ等で目にした光景ですが、それが垣間見えた「在宅介護のぎもん発見」、その一部でしたが、いかがでしたか。
この記事へのコメントはありません。