発達障がい児を持つ会社員のパパママための知識 ~有給休暇・前編~  【2013年 第8回】

【2013年 第8回 発達障がい児を持つ会社員のパパママための知識 ~有給休暇・前編~ 】
発達障がいの子をもつ家庭のためのファイナンシャル・プランニング

平野 厚雄(ヒラノ アツオ)⇒ プロフィール

このコラム連載は、ファイナンシャルプランナーとして、社会保険労務士として、発達障がいを持つ子の父親として、私が何を感じ何をしてきたのか?そして、発達障がいを持つ子の親が知っておくべきことは何か?という視点で執筆していきたいと思います。

 

●「休日」と「休暇」の違い

読者の皆様は有給休暇をきちんと消化されていますか?今は「ワークライフバランス」という言葉が世間的に浸透してきたように、「きちんと休むことも大切」という風潮がでてきました。しかし、実際の有給休暇の取得率はというと約48%になっており、世界と比べると低い水準となっています(厚生労働省「平成23年就労条件総合調査の状況」)。

また、皆様は「休日」と「休暇」の違いはご存知ですか?労働基準法では「休日」とは、もともと働く義務が無い日のことをいい、たとえば土曜日・日曜日がお休みの週休2日制の会社では、その土曜日、日曜日がこの「休日」にあたります。

一方で「休暇」とは、本来は働く義務がある日について、その義務が免除された日をいいます。代表的なものが有給休暇です。このように、「働かない」ということでは同じ「休日」と「休暇」でも実は全く意味合いが違うのです。

今回は、そんな細かいお話を伝えたいわけではありません。

ずばり、皆様に伝えたいことは、有給休暇は「休日」ではなく「休暇」であるということです。つまり、有給休暇は労働義務がある日に休む(取得する)ことができるものであるということです。

 

 

 

 

というのは、ワークライフバランスの一環で、有給休暇の取得率をアップさせようと、もともと労働日ではない所定休日を有給休暇にあてているような場合や、未消化分を買い取っている事業所をたまに見かけるのです。

しかし、これはいけません。繰り返しますが有給休暇は「休暇」です。労働義務のある日に取得することに意味があるのです。したがって、きちんと労働義務のある日に取得してください。

●有給休暇の正しい知識

皆様の会社では、有給休暇を取る際はどのような手順が必要ですか?まずは上司の顔色を見て、職場の空気を読んで上司に伝えるというような方も多いのではないでしょうか?しかし、法律的には、皆様が有給休暇を取りたいと伝えるだけで有給休暇が発生しますので、会社から承認を得る必要ありません。

そして、原則、会社はその有給休暇申請を拒否することはできず、有給休暇の取得理由も関係ありません。これがルールです。(例外的に、その従業員が有給を取得することにより、事業の正常な運営が妨げられてしまうような場合、会社側はその日に有給休暇を与えることを拒否することができます。)

いかがでしょうか?かなり強い権利があると思いませんか?もちろん仕事をする上で職場の状況等を考慮することは大切ですが、必要な場合は堂々と有給休暇を申請する権利があるのです。

では次に、どのくらい有給休暇を取得できるのか確認していきましょう。

取得できる日数は、勤続年数によって変わってきます。まず、入社して6ヵ月間働いて、その期間の8割以上出勤すれば10日間の有給休暇を取ることができます。その後は1年経過するごとに1日ずつ加算されていきます。3年目からは2日ずつ加算され、6年6ヵ月で20日間となります。 有給休暇の時効は2年ですので、その前の年に有給休暇を取っていなかった場合、40日間の有給休暇を取ることが可能です(図参照)。

 

ちなみに、これは、労働基準法で定められている最低基準の日数です。したがって、会社として上回る日数の有給休暇が付与されるのであれば、それは労働基準法を上回ることになりますので有効です。

 

 

 

 

有給休暇は、働きながら障がいを持つお子さんを育てていく親御さんにとても重要な権利となります。後編は、私が有給休暇を活用した実例をご紹介させていただきます。

<Fight4uの紹介>

 

 

「Fight4u」は、自閉症等の発達障がい児・者のお父さん等のランナーもしくはランナーのサポーターの方を中心に組織されたグループ「Run4u」の兄弟グループです。「Fight4u」では、格闘技を通じ社会に対して「発達障がい」についてのメッセージを発信しています。「Fight4u」のコンセプトは以下の5つです。

(1)格闘技を通じて健康を維持・向上しましょう!

(2)発達障がいに関する理解と支援を求めるメッセージ付きのTシャツや、パンツ、スパッツ、胴衣にロゴをつけて、社会にメッセージを発信しましょう!

(3)障がいのあるなしに拘わらず、誰もが活き活きと輝き、豊かに暮らせる社会「インクルージョン社会」の実現をめざしましょう!

(4)子どもを守るため、親御さんも強くなりましょう!

(5)格闘技を通じて、親子関係を深めましょう!

 

この「Fight4u」は格闘家だけが対象ではありません。格闘技は見る専門の人、昔格闘技をやっていた人、子どもに格闘技をやらせたい人、格闘技を通じて健康になりたい人、格闘技に興味がある人等、何らかのかたちで格闘技に関係している人、興味を持っている人であれば歓迎です。この「Fight4u」の活動にご興味がある方は、以下のHPよりお問い合わせください。

「FP社会保険労務士事務所 柔コンサルティング http://www.yawara-bjj.jp/

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