【2015年 第1回】 大学教員が語る!就職活動で身につけておきたいことはズバリこれ ~キャリアにならなくていいのだ、「思う」のではなく「考え」よう~
キャリアデザイン誌上講座
竹原 庸起子 ⇒ プロフィール
大学非常勤講師・社会人研修専門講師 の 中野 庸起子です。 大学や短大で「社会人基礎力」を養成する必修授業を受け持ってはや7年目。 短大や大学ではできるだけ学生たちが「楽しく物事を発見し、厳しく叱られ、そして成長」をテーマに、 「受け身ではなく自ら進んで考える授業」を実施しています。
その授業で指導している、近未来の日本を担う 若者が社会人になるまでに準備しておいたほうがいいコト(社会人への扉を開ける10か条)を、5回にわけて連載でお伝えします。 教科書やテキストに沿わず実社会の経験に沿って、大学生・新社会人・若手社会人へエールを送る連載です。若手ではないみなさまもぜひとも気楽にお読みください。
1か条 キャリアになろうと思わないこと
とある昼下がり。
私が教鞭をとっている短大で、女子学生が 「先生、私はキャリアにはならなくてもいいねん。仕事だけじゃなくて、ほかにもやりたいことあるから。」 と。
世間では「キャリア」「キャリア」言いすぎですよ。まるでキャリアが「素晴らしいもの」「雲の上のもの」「理想的なもの」であるかのように思わせすぎです。
そのために学生たちに「キャリアって何?」と問いかけると学生たちは「女性がバリバリ仕事をしている様子」「エリート」「難しい仕事をしている人」などのイメージを持ってしまうのです。
私は「キャリア教育」とは
「自分が描く未来のある若者は、その未来へ向かい、今できることを意識して、ただひたすら、間違っているかどうか考えずに取り組むことができるよう、教員が教えること」
「自分が描く未来が見つからない若者は、あせって未来を見つける必要はないので、今を精一杯生きること、なんでも取り組めるものが見つかれば取り組めるよう、教員が心の支えになること」
だと考えています。
簡単に言いかえると、 「自分がなりたい姿になるための取り組みをさせる教育」 です。
「かっこよく、世間で言うところの地位の高い仕事に就くための勉強をさせること」 ではないのです。
したがって、キャリアになんかならなくていいのです。
さきほどの学生の「キャリア」は「やりたいことに向かって取り組むこと、それを実現するために学生の今何をするべきなのかを考え実行すること」なのです。それが「難しい」「地位が高い」「他人からの評価が高い」かどうかは関係ありません。
クラブ活動・サークル活動に打ち込む、趣味に没頭する、家で読書する、友人とアウトドアに出かけるなど、なんでもいいのです。
これが果たして自分のやりたいことなのかどうか、はっきり決まっていなくてもいいので、経験することが重要です。
2か条 「勉強」ではなく「学習」することと、「思う」のではなく「考える」ことができる人になること。
「学習」≠「勉強」であることを理解し、「学習」する習慣をつけることが必要です。
高校生まではとにかく暗記することが勉強だったのですが、大学生からは暗記よりも重要な論理的思考力を養わなければなりません。
論理的思考力を養うというと、難しいことをしなければならないのかと拒否反応を示す学生も大人も多いのですが、簡単にだれでもできます。
難しい言葉を暗記する必要はなく、どんなことにでも「疑問」を持ち、他人の意見や考えを聞き、自分の考えを見出し、なぜそのように考えるのかの理由付けを他人に説明することができるようになる、これが、「学習」であり論理的思考力の養成なのです。
論理的に説明できれば、社会人になってからのプレゼン力アップにつながります。
そして、人の意見がどうであれ、自分の意見を持ちましょう。
「思う」のではなく「考える」ことが「意見」です。
「思う」ことは、ただ自身が受け止めた感情的なイメージに過ぎません。
「考える」のです。
「考える」ことは、なぜその考えに至ったのか理由があり、その理由は他人を説得できるようなものである必要があります。
他人がどう言おうが、自分はこうだと胸を張って意見を発言できるようになりましょう。
そして、なぜその意見をもつようになったのか、その意見が正しいのだと他人に説明するときに説得力のある伝え方ができるようになりましょう。
それがコミュニケーションでもあります。
しかしながら注意しなければならないのは、他人の考えをしっかり聴きましょう。
自分の考えがどうなのかを決めるための材料とするのに必要です。
今日は、就職活動で身に着けておきたいコトを2つお伝えしました。
私の授業では、学生たちに質問をし回答させています。
その回答の答えが正解かどうかはどうでもよく、答えること、人にわかりやすく説明することができればそれでマルなので、学生を褒めています。また、学生たちに毎回、ある議題についての「考え」を問うています。
その考えに至った理由もセットで答えさせています。そしてその答えの正解不正解は、教員であろうと私が判断できることではないですし、そんな権限もないので、「正解」「不正解」は答えますが、不正解であっても責めることはせず、「よく考えたね」と褒めています。
実社会でも上司は部下が考えたことを意見として表現したのであれば、それを聴かなければなりません。
それを聴かないのであれば、上司と部下とのコミュニケーションが取れないのは当たり前なのですね。
なぜならば、他人の意見を聴けない人は、自分の意見を持てず、論理的に思考できません。
そうなると仕事上、プレゼン力はアップせず、自身が所属する会社の業績アップにはつながらず、上司と部下が一体となって企業の利益に貢献できたという実感も結果も残せないという悪循環につながるからです。・
以上の2つの準備を伝える、これが私のキャリア教育であり、社会人になる前に、そして社会人になってからでも遅くはない「学習」なのです。
次回は、続きの3つ目、4つ目をお伝えしますね。お楽しみに。
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