【2011年 第3回 Let’s Enjoy “旅” 『賢く楽しく“旅”しましょう。』】楽々旅々
合田 菜実子⇒ プロフィール
東北地方を中心に大地震が起きました。テレビで被災状況を見るたびに心が痛みます。 被災された方、大切な人を失われた方、そして今も余震や原発災害への不安に怯えながら生活されている方へ心よりお見舞い申し上げます。 そして今福岡という離れた土地で何の不自由もなく平和に暮らしていることにもどかしさを感じています。 今回は、この災害が一刻も早く落ち着いて日本が復活できるように、被災された地域の方々がかつての元気な姿を取り戻してくれるように祈りも込めて、 “東北地方”についてご紹介したいと思います。
東京で暮らしていたころ何度か東北を旅しました。関西生まれの私にとって東北地方は1番馴染みの薄い場所ではありましたが、ぐるりと1周回ってあちこちで美味しいものを頂いたり、地元の人と話をしたりすることにより、東北の人々の暖かさを肌で感じました。
初めに訪れたのが宮城県の観光名所、“松島”でした。日本三景の1つでもある松島はリアス式海岸よりさらに進んだ沈降地形で、広い海に様々な装いの美しい 島々が260島余り点在しています。観光遊覧船に乗って湾内1周コースで島めぐりをするのが定番ですが、高台から眺める島々の姿も絶景です。カキが名物 で、今の時期は本来ならば“牡鍋クルーズ”が楽しめます。地震により、これらの遊覧船の多くが流され、中心部の雄島に渡る朱塗りの橋も水没したか流された かで姿を消してしまったようです。
近くには、奥州随一の禅寺である国宝“瑞巌寺”があります。伊達政宗が5年の歳月をかけて完成させた立派なお寺です。本堂へ続く参道は杉並木になっており その両側には修行僧が生活したと見られる洞窟や、石造の跡があり荘厳な雰囲気が漂っていました。背の高い巨大な杉が立派過ぎて、何枚も写真を撮りましたが 収まりきらなくて残念だったのを覚えています。災害直後は瑞巌寺の修行場も避難所となっていたようです。
宮城県で1番印象に残っているのは、“気仙沼”からフェリーで20分ほど渡った“大島”です。東北最大の有人島で“緑の真珠”とも言われているそうです。 車を積んで渡り高台にある民宿に泊まりましたが、平日ということもあり貸し切り状態で丁寧なおもてなしを受けたのを覚えています。海の幸を中心とした炉端 焼きの夕食はボリュームたっぷりで大満足でした。
民宿のご主人とこんな話をしました。大島の人口が確か“3500人程度”とのこと、そして当時私が住んでいた品川区の人口が30万人超なので、
「東京は都心のビル1つに大島の島民全員が一緒に仕事出来るくらい人が多いですよ。島は自然があふれていてのんびり時間が流れていていいですね。」
と笑って話したのを覚えています。
地震の後、大島の方々は全員無事のようで安心しました。ただ、フェリー、船が全て流されてしまって完全に孤立されているようです。(平成23年3月15日現在)食料や物資が足りているのかとても心配です。
翌朝は“気仙沼漁港”を観光しました。東北最大の漁港で、水揚げされた“カジキマグロ”“カツオ”“サメ”などが、ずらりと並ぶ姿は圧巻で、漁港好きの 我が家にとっては感動的な風景でした。“かき”“ホタテガイ”“あわび”なども特産で、ふかひれの生産は全国一となっています。漁港の上の建物が観光客向 けの物産店や飲食街になっており、とれたての海鮮やふかひれのスープなどをその場で食べることができます。念願だった“ふかひれスープ”(とても安かった ような)をたっぷり頂いたのを覚えています。
震災後、テレビで漁港や駐車場の建物が海にのみこまれて行くのを見ました。以前の漁港の活気が早くもどるように願うばかりです。
別の機会に、福島を旅行することがありました。今回被害が大きかった海側には行きませんでしたが、福島県は農業が盛んで、海や山など自然が豊かな美しい ところです。会津若松市のシンボル、幕末の戊辰戦争の舞台ともなった鶴ヶ城は桜の時期がおすすめです。また近くの飯盛山には会津の若い戦士たちが自刃した 白虎隊記念舘もあり、歴史を感じる街です。このあたりは地震の被害はさほど大きく無かったようで少し安心しました。
福島県に行って一番感動したのは、“会津米”の美味しいこと!旅館で、お米だけを何倍もお代わりして食べたのを覚えています。実は同じお米を買って帰っ たのですが、会津で食べたほどの美味しさは自宅では味わうことが出来ませんでした。良いお米を美味しく頂くには、そのお米が育った土地のお水で炊くのが一 番なのだと言うことも“会津”で教わりました。 福島県の海側では大変な被害が出ています。また、原発事故の影響で不安な時間を過ごされている方も多く居 らっしゃると思います。
“楽しい東北旅行”が出来るようになるまでは、まだまだ時間を要すると思いますが、少しでも早く“かつての美しい東北”が蘇るように、祈りを込めて東北地方の魅力についてお伝えさせていただきました。
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