【2016年 第9回 転勤族家庭の教育費、いくらかかる?】がんばる転勤族の妻たちが「お金」をもっと好きになるお話
松原 季恵(マツバラ キエ)⇒プロフィール
教育費は人生三大資金の一つ。
最近は推薦入試・AO入試を受ける人も増え、秋には前倒しで入学金準備が必要になることがあります。
教育費は計画通りいかないものですが、なかでも住まいが安定しない転勤族は先が見えにくいです。
だからこそ、子どもを含めて教育資金の計画を立てることが重要です。
転勤族家庭における教育費がどのくらいかかるのか、見ていきます。
地域によってもかかる費用が異なる
子どもの教育にかかる費用は、国公立か私立かなどで大きく異なります。
子ども一人一千万と言われますが、具体的にどのくらいの費用が必要か目安を見てみましょう。
幼稚園から高校までの教育費は以下のようになっています。
文部科学省H26年「子供の学習費調査」をもとに筆者が作成
このデータは学校に支払う教育費と給食費の他、学校外活動費も含まれています。
私立へ進むとかなりの教育費を覚悟する必要がありますが、公立であればいずれも年間50万円もかからず、最大でも月4万円程度を捻出できれば教育費を払うことができます。
ただし、公立でも地域差があります。
以下は人口規模別の子どもの数(注)に応じて出された教育費です。
※私立小・中学校と高等学校は人口規模の大きい地域に集中しており(高等学校は生徒の流動性も高いため)、正確な地域による教育費の差が出せないことからデータがありません
文部科学省H26年「子供の学習費調査」をもとに筆者が作成
同じ公立でも人口規模によって学習費が異なり、人口規模の大きい地域ほど費用が高くなる傾向が分かります。
転勤族家庭は夫と共に転居する場合には住む地域を選ぶことができません。
主要都市への転勤が多いと分かっていれば、ある程度、平均を上回る費用が必要になるでしょう。
私立小・中学校、高等学校のデータはありませんが、これらは人口規模の大きい都市に集中している傾向があります。
地域によって「私立」「公立」のとらえ方も異なり、転居先によって想定外に私立に通うことになる可能性もあります。
また、子どもの転校によってかかってくる費用もあります。
例えば、新たな制服代や部活動の道具、その学校独自の学習セットなどです。
転勤族家庭は一般に社宅等が準備され住宅費を抑えられることが多いので、その分、転居に伴って増える費用負担分を賄う心構えが大事です。
大学は二重苦、三重苦も予測して
では、大学に費用はどのくらいかかるのでしょうか。
日本政策金融公庫 H27年度「教育費負担の実態調査」をもとに筆者が作成
高校までの教育費と比べて、単年にかかる費用が大きくなります。
私立大理系では178万円在学費用がかかり、国公立であっても入学金がある初年度は約176万円かかります。
大学費用は毎月の捻出ではとても賄うことができず前もって準備をしておく必要があるでしょう。
転勤族家庭であれば、これまで様々な土地に住んできた経験から県外の大学を希望することも多いのではないでしょうか。
そのため、自宅外通学にかかる費用も考慮しておきましょう。
先の表と同じ、日本政策金融公庫 H27年「教育費負担の実態調査」によると、自宅外通学を始めるための費用の平均は45万円です。
また年間の仕送りの平均は124.9万円です。
単純計算で、自宅外通学の場合に国公立大学にかかる初年度の費用は345.7万円ということになります。
また、子どもが二人以上いる場合には下の子の学校があり、単身赴任の夫と、母子、そして大学生の子どもの三重生活が始まる可能性もあります。
住宅費や水道光熱費等の固定費がそれぞれの住まいごとにかかってしまうので、より家族間の協力が重要です。
簡単にはいきませんが、例えば、つい膨らみがちな夫の外食費を抑えてもらったり、妻に頑張って働きにでてもらったり、大学生の子どもにはアルバイトで仕送り額を減らしてもらったりです。
データの平均値に引っ張られず、各家庭の置かれた状況に応じたマネープランを作ることが大事です。
教育資金の計画は子どもも含めた全員で
私立医師系の大学を希望したり留学を望んだりすれば、さらに大きな資金が必要になります。
また大学院進学・留年・浪人をすれば、その分の在学費用や予備校の費用もかかります。
教育資金は正確な計画を立てることはできませんが、子どもの希望を本人に聞いておくとある程度予測することはできます。
転校したいか、どこの学校に行きたいかを考えるのは子ども自身です。
固定概念や常識は抜きにして、本人の意見を聞いてあげることが、より正確なマネープランに近づけてくれます。
教育費以外の費用がかかりにくい小学生までは“教育資金の貯めどき”です。子どもと一緒に教育資金のマネープランを考えていきましょう。
(注):公立の幼稚園,小学校,中学校及び私立の幼稚園 については市町村の人口規模別の幼児・児童・生徒数に応じて決定する。
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