災害に強い都心の街 【2016年 第4回】

【2016年 第4回 災害に強い都心の街】都心に暮らす醍醐味

 松浦 建二(マツウラ ケンジ)⇒ プロフィール

 

もしも住む場所を選べるならどこに住みたいですか?
人が住んでいる場所であればそこに何かしらの良いポイントがあり、住んでいる人にとっては「住めば都」だと思います。
しかし、客観的にみれば、住みやすさには利便性や環境等のいろいろな要因があります。
このコラムでは「都心に暮らす醍醐味」と称して都心暮らしの良いポイントを隔月でお伝えしていきます。

 

 

都心に暮らす醍醐味として、今回は災害面で大事な道路と公園について安心度の高い都心の状況をお伝えします。

 

道路率が高いと防災対策にも有効

地震による大規模火災が発生したような時、緊急車両の円滑な移動や火災の延焼を遮断するために道路の役割は非常に大きいです。
道路率とは区の面積に対する道路面積の割合で、割合が高い区は低い区よりも道路延長が長かったり幅が広かったりしています。

 

道路率は高い方が良いのか?道路の長さについては、使わない道路は勿論不要ですが、長い(数が多い)方が移動もしやすく良いことの方が多いです。
例えば、災害や事故で通行止めになっても迂回路があれば都市機能が麻痺することは避けられます。

 

道路幅についても広いに越したことはありません。
道路幅が狭いと火災が発生した時に燃え広がってしまう危険性が高いですが、道路幅が広いと道路によって延焼を遮断することができます。
災害時の緊急車両の通行を考えても、電柱が倒れたり建物が倒壊したりしても道路幅が広ければ避けて通行できる可能性は高いです。
そのため、都では木造住宅密集地域(耐火性の低い木造住宅が多く道路幅も狭い)を解消させることが重要な政策の一つとなっています。

 

災害面以外でも、道路幅が広ければ住まいの眺望や日当たりが良くなります。
道路率が高いということは区や都等が所有している土地が多いということなので、街の再開発もしやすく、道路の拡幅で用地買収する必要も限られるはずです。
つまり、道路率が高い地域は安全面だけでなく財政的にも時間的にも相当競争力が高いと言えます。

 

都心は道路率が圧倒的に高い

都心はインフラ整備が進んでおり、道路率も他のエリアよりかなり高いです。
下記は東京23区の中で道路率が高い区を10位まで並べたものです。

資料:特別区協議会「特別区の統計平成28年版」に掲載の東京都建設局道路管理部「東京都道路現況調書平成27年度」

 

東京23区の道路率は16.4%で、大阪市の14.9%や横浜市の13.3%、川崎市の12.2%(各市のホームページで確認、一部筆者が計算)等と比べると高いですが、23区の中でも特に道路率が高いのは中央区で、23区平均を13%近くも上回る29.3%となっています。
2番目に台東区(25.9%)、3番目に千代田区(23.9%)、4番目に港区(21.6%)となっており、都心3区(千代田・中央・港区)は非常に高い道路率となっています。

 

都心には意外と公園が多い

公園は住民等の憩いの場であり、災害時の避難場所でもあります。
そのため、住む場所の近くに公園があることは安心できる暮らしを実現する大事なポイントの一つです。
都心3区の区民 1 人当たりの公園面積と区面積に対する公園面積の割合をまとめてみました。

資料:特別区協議会「特別区の統計平成27年版」に掲載の東京都建設局公園緑地部「公園調書(平成27年4月1日現在)」

 

都心は経済や政治の中心地なので公園はあまりないイメージが強いですが、都心3区には実は意外と公園があります。
特に千代田区は区民1人あたりの公園面積が31.5㎡で、23区の中で断トツの1位です。
公園面積の割合も含めて3区とも10以内に入っており、23区の中で公園は多い方です。

 

インフラ整備の整った都心で不安の少ない生活を実現!

道路と公園の現状を統計で確認するだけでも、都心の防災対策が進んでいることを理解できたかと思います。
2020年の東京オリンピック・パラリンピックへ向けてさらに街づくりは進み、電柱の地中化も他地域に先行して整備されていくはずです。
皆さんも災害に強い都心で安心できる生活を実現してみては如何でしょうか。

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