【2013年 第7回 必要な生命保険について考えよう ~夫が年上編~】
歳の差カップルのライフプランニング
川崎 由華⇒プロフィール
結婚は、生命保険への加入や見直しの一つのタイミングです。お互いのライフプランについて話し合いながら、考えていく必要があります。
歳の差カップルのライフプランニングコラムの第7回目は、夫が年上の歳の差夫婦の生命保険はどのように考えていけばいいのかを、事例を挙げてお伝えしたいと思います。
~事例~
独身を貫いてきた45歳の隆司さんは、このたび同じ会社に勤める30歳の恵子さんと結婚することになりました。
これまで生命保険には無頓着で、何も加入をしていなかった隆司さんですが、所帯を持つからには生命保険についても考えなければいけないと思い、恵子さんと共に相談中です。
まず、生命保険の保障は、「死亡保障」「医療保障」「老後・貯蓄保障」の大きく3つに分けることができます。
これらの3つの保障はどれもとても大切で、準備しておくべきものですが、必ず生命保険に加入をして保障を得ておかねばならないものではありません。
生命保険はあくまでも、公的制度の補填、貯金でまかなえない部分の補填として考えるもので、自分自身や家族が受けられる国による保障、会社の福利厚生が充分であれば、生命保険に加入していなくても万が一の時に困ることもないからです。
これを踏まえ、必要な生命保険について考えていきましょう。
◇死亡保障
死亡保障についてですが、恵子さんの今後のライフプランによって大きく変わってきます。
結婚後もこれまでどおり働くならば、隆司さんに万が一のことあった場合、保険加入をしておかなくても、恵子さんはこれまでのように自身の収入で生活はまかなうことができます。そのうえ、30歳ですので、年収が850万円未満で、かつ再婚しない限り、遺族厚生年金を生涯受け取ることができます(30歳未満ならば5年間しか支給されません)
恵子さんが退職して専業主婦になるのであれば、生活していくには遺族厚生年金だけでは足らない部分の死亡保障に加入しておかねばいけませんが、万が一の時には自身で生計を立てられるように再就職を考えるのであれば、それまでの期間に困らない貯金があれば問題ないでしょう。
もし、すぐにでも子どもをつくるライフプランを立てているのであれば、子どもを育てていく資金として遺族基礎年金および遺族厚生年金、貯金だけでは足りない部分を死亡保障でまかなっておかねばなりません。
その際、年齢が45歳である隆司さんの保険料は、どうしても高くなってしまううえ、健康に不安があれば加入が難しくなることも考えられるため、保険料が抑えられるシンプルな保険に早めの加入した方がよいでしょう。
2人の収入で生活を支えていく家計であれば、恵子さんに万が一のことあった時のことも、考えていく必要があります。
現在の法令では、妻が死亡した場合、子どもがいたとしても、夫が受給できる遺族年金はないのです(恵子さん死亡時に隆司さんが55歳以上であれば、遺族厚生年金が受給できます)。恵子さんの健康状態が良ければ、年齢的にも保険料は安く加入できるでしょう。
◇医療保障
医療保障を考える際には、加入している健康保険組合の制度の確認が必要です。
健康保険組合によっては、毎月の自己負担額が数万円で済むという、高額療養費制度よりも充実した制度を施行されているところあります。その場合、在職中の医療保障には不安が少ないといえるでしょう。
このまま共働きを続けるのであれば、隆司さんが定年退職後に恵子さんの扶養になることで、恵子さんが退職するまで、家族でこの健康保険組合の制度を利用することができます。
仮に恵子さんの定年退職が65歳であれば、隆司さんは平均寿命の80歳まで制度を利用できるわけですから、生涯にわたり医療保険の必要性は少ないのではないでしょうか。
ただ、健康保険組合の制度が変更されたり、退職した場合には、事情が変わってきてしまいます。また、治療によっては健康保険のきかない高額なものを必要になるかもしれません。
医療費以外の想定されるリスクとして、隆司さんや恵子さんが病気やけがにより長期間就業できなくなってしまうことによる収入減も考えられます。
◇老後・貯蓄保障
老後・貯蓄保障については、老後資金に関しては、公的年金の仕組みや会社が導入している企業年金について把握しておくことが大前提になります。そのうえで、不足部分を貯蓄しておく必要がありますが、恵子さんが働き続けるかどうか今後のライフプランが、隆司さんが退職後の家計収入にも年金額にも大きく影響してきます。
生命保険を利用して貯蓄をしていく方法もありますが、まだ低金利である今はあまりお勧めできません。加入した時点の金利のまま長期間固定してしまう商品が多いうえ、途中での解約には手数料が取られてしまいます。
貯蓄は保険とは別に考え、DINKSの今から将来を意識してコツコツ貯めていく必要があるでしょう。
3つのどの保障も、貯金さえあれば、生命保険を過分に加入することはありません。特に隆司さんのように年齢が上がってからの新規加入は保険料も高くなってしまいます。
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