【2013年 第9回 知っておこう!歳の差夫婦の老齢年金のポイント】
歳の差カップルのライフプランニング
川崎 由華⇒プロフィール
年金制度は、夫婦単位で捉えて加入期間や年齢で決められる部分が多くあり、歳の差夫婦には非常に重要です。
今回は老齢年金について、歳の差夫婦が知っておくべきポイントをお伝えします。
日本の公的年金制度
日本の公的年金制度では、次の3つの給付の種類があります。
① 老齢年金(老齢になったとき)
② 遺族年金(年金受給者または被保険者(加入者)が死亡したとき)
③ 障害年金(病気やけがで障害を有することとなったとき)
年金手帳は個々で所持し、これら3つのどの年金についても個人単位に支給されるものとはいえ、年金制度には夫婦単位で捉えて保険料の納付額や支給額が決まる部分があります。
夫が会社員(厚生年金加入者)・公務員(共済年金加入者)か自営業者(国民年金加入者)かによって、専業主婦の妻自身が保険料を納付する必要があるのかどうかが変わってくることもその一例と言えるでしょう。
また、年金制度は加入期間や年齢で決められる部分が多くあります。
例えば、老齢基礎年金の支給は原則65歳からですし、夫の死亡によって支給される遺族厚生年金は、夫の死亡時に妻が30歳未満であれば遺族厚生年金は5年間だけしか支給されません。
このような点から、年金を考えていく際には、夫婦各々の年齢や年齢差が大きく影響してくると言え、歳の差夫婦にとって非常に敏感になるところでしょう。
事例を基にして、老齢年金について歳の差夫婦が知っておくべきポイントをみていきましょう。
~事例~
夫は65歳、妻は55歳となりました。夫は妻を扶養し、これまで会社員(第2号被保険者)として43年間働いてきましたが、退職し、いよいよ年金生活を始めます。
さて、二人はどのように年金を受給できるでしょう。
65歳の夫が受給できる年金は、老齢基礎年金(786,500円/年)と老齢厚生年金に、加給年金(393,200円/年)が加算されます。
そして、妻が65歳になった時に夫の加給年金はストップし、妻は老齢基礎年金(786,500円/年)と振替加算(33,400円/年)を受給できます(上図参照)。
加給年金とは、老齢厚生年金に上乗せされる、いわば家族手当です。
この家族手当が支給される条件は、本人が厚生年金(共済年金)に20年以上加入し、生計を維持している65歳未満の配偶者がいること、そして配偶者は年収が850万円未満で、厚生年金加入期間が20年未満であることです。
言い換えれば、ご夫婦のうちどちらか年上である者が会社員として20年以上勤め、年下である者は会社員の期間が20年未満で年収が850万円未満であれば、条件を満たすということです。
つまり、この上記の条件で夫婦間に歳の差があれば、年下の者が65歳になるまでの長い期間加給年金が支給されるので、夫が10歳も年上である事例1では、妻が65歳になるまでの10年間もの間、加給年金が支給されるというわけです。
しかし、夫と妻が同年齢であったり、または、例えば専業主婦や自営業の奥様が年上であれば、加給年金はまったく支給されません。
年の差のある夫婦にとって、自分たちが加給年金をもらえるのかどうかは、年金生活をする上で大きなポイントになるでしょう。
よく誤解されるのは、加給年金が支給されるのは夫が年上の場合のみの話だと思われていることですが、上記の条件さえ満たせは、妻が年上であっても加給年金は支給されます。
例えば、先月のコラムに挙げた事例の倉田さん夫婦であれば、妻の舞子さんが今後会社員として20年以上勤め、夫の健太さんが自営業を続け、舞子さんが65歳になり年金受給開始の時に57歳の健太さんの年収が850万円未満であれば、加給年金も受給できるようになります。
しかし、会社員として働き続けてきた夫(妻)が年上であることは、年金制度においてプラスなことだけではありません。
事例のように、扶養してくれていた夫が、65歳になり退職したことで第2号被保険者ではなくなった場合、自動的に妻は第3号被保険者ではなくなってしまいます。
つまり妻はこれから60歳になるまでの5年間、第1号被保険者として国民年金の保険料を自分自身で支払っていかねばなりません。
これも、扶養してくれている年上の夫との歳の差が影響してくる大きなポイントです。
年の差のある夫婦は、年上の者が一足先に老齢年金受給が始まり、年金は安定した収入の糧となります。
どのような場合にはいつからいくら受給できるのか、夫婦の働き方で変わってくる年金制度を理解し、老後のライフプランを立ていきましょう。
次回は、歳の差夫婦の遺族年金についてお伝えします。
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