【2008年 第4回 成年後見制度】地域コラム 東海
松山 智彦(マツヤマ トモヒコ)⇒ プロフィール
成年後見制度とは、痴呆や知的障害などにより判断能力や意思能力が充分でない状態をある人について、後見人等が本人の代理人として財産管理、身上監護の事務について行うことでその人の権利を守り支援することを目的として創設されました。
これまでの禁治産者、準禁治産者の制度は、ある程度重い精神上の障害のある人に限定され、戸籍に記載される、後見人、保佐人を一人しか置けないなどの問題がありました。また意思能力のあるうちに衰えた時に備えた準備ができない問題がありました。
成年後見制度では、「法定後見制度」と「任意後見制度」があります。
法定後見制度は、「後見」「補佐」「補助」の3種類に分かれ、従来の禁治産は「後見」、準禁治産は「補佐」に改められました。また新たに追加になった「補助」は軽度の精神上の障害による判断能力の不十分な人のために新設され、本人の意思を尊重しながら、法律行為を「補助人」がサポートする制度になります。
「任意後見制度」、本人が判断意思の衰えに備えて、予め契約によって選任しておく制度になります。この契約は、必ず公正証書で行われ、効力は家庭裁判所によって任意後見人が選任されてから生じます。任意後見人になるための資格等の制限はなく、複数の後見人や法人を選任することもできます。任意後見人は家庭裁判所が選任する任意後見監督人の監督の下、本人の意思に従った保護・支援が可能になります。
成年後見人などの権限、任意後見契約の内容は、新設された「成年後見登録制度」によって登記し公示される事になります。
予め後見人を選任できる点や、戸籍への記載の廃止、登録制度の導入など「成年後見制度」は、高齢化社会に対応した制度といえそうです。
【参考ページ】法務省民事局:成年後見制度~成年後見登記制度~
この記事へのコメントはありません。