【2008年 第7回 本当の豊かさとは・・・(豊かさのポートフォリオ)】地域コラム 東海
松山 智彦(マツヤマ トモヒコ)⇒ プロフィール
「勝ち組」「負け組」、「格差社会」などの言葉で表される現在。かつては「一億総中流」、「バブル経済」が懐かしく思えます。
しかし、お金持ちと言われる人の中でも、本当の”豊かさ”を実感している人は少ないと聞きます。反対に「ボロは着てても心は錦」、「狭いながらも楽しい我が家」という言葉があったように決してお金持ちではないけれど、幸せだった時代があります。昭和ブームは、そんな誰もが幸せになれた時代を懐かしく思っているのかもしれません。
“豊かさ”を表す英語には、RICHとAFFLUENCEがあります。
・RICH:裕福(金銭的な豊かさ)
・AFFLUENCE:富裕(総合的な豊かさ)
私たち日本人は、RICHを豊かさだと勘違いする傾向にありますが、本当はAFFLUENCEをめざすべきかもしれません。お金持ちでも「あの人は品がある」「あの人は下品」と感じるのは、AFFLUENCEとRICHの違いかもしれません。
では、めざすべきAFFLUENCEはどのように形成されるのでしょうか?
ひとつのヒントとして「豊かさのポートフォリオ」というのを紹介しましょう。
豊かさのポートフォリオは、生活基礎資産、生活投資資産、生活社会資産、生活文化資産の4つの資産に分けます。
生活基礎資産:現金等貨幣性資産、家具等動産性資産、土地家屋等固定資産
つまり、日常生活に必要な資産を言います。
生活投資資産:株式等、投資性資産
つまり、余剰資金を使った投資、運用。換言すると将来使うための資産を言います。
生活社会資産:社会に対する自分の貢献度、存在価値
つまり、客観的な人的の評価を言います。
生活文化資産:健康、家族、人脈、教養、博識、時間等
つまり、精神的、人格的、教養的な自己評価を言います。
この4つの資産を数値化してデータチャートで表します。データチャートの形が均等に大きければ、いわゆるAFFLUENCEとして理想的な形と言えるでしょう。
日本の場合、近年生活基礎資産は向上しています。携帯電話をもち、自宅に風呂があり、家電製品があり、液晶テレビも普及しつつあります。
生活投資資産はどうでしょうか?個人金融資産は約1500兆円あり、総額でも個人単位でも世界のTOPクラスです。「実感できない」という方もおられるかもしれません。貯蓄残高300万円以下が全世帯の19%、一方2500万円以上が21%と格差社会を象徴しているのかもしれません。
生活文化資産と生活文化資産は、「教養や博識のある人が減少した」「仕事が多忙で遊ぶ時間がない」「日本人は寄付が少ない」など言われていますが、私はそうは思っていません。大災害時などで見かけるボランティアの活動は、社会貢献したいという純粋な気持ちの表れだと思います。これは生活社会資産が豊かであると同時に生活文化資産も豊かだといえるのではないのでしょうか?
主観が多くかつ感覚的ではありますが、私たち日本人は、全体的にAFFLUENCEなのかもしれません。局地的に豊かさを感じない事件などが起きていますが、その豊かさをいつまでも失わせないために、これからも自信をもって、行動すべきなのかもしれません。
参考文献:「FPビジネス進化論」田中英之著(近代セールス社)
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