【2008年 第12回 ホントにベストな生命保険② ~そのリスク、保険じゃないとだめですか?】地域コラム 東海
松山 智彦(マツヤマ トモヒコ)⇒ プロフィール
短期入院だったら貯蓄で充分!
近年の医療保険や医療特約は、1泊2日や日帰り入院などに対応したものが数多く販売されています。
例えば入院を4日した場合、日額1万円だと4万円の給付を受ける事ができます。4万円は結構大きな金額です。しかし、月額保険料3,000円だとすると1年2ヶ月分の支払に該当します。
仮にこの保険料を貯蓄に回すと、入院しなければ、自分の他の用途に使う事ができます。
つまり、緊急資金用として100万円ほど用意できている人ならば、わざわざ医療保険に加入する必要はないと言えます。
死亡保障があるならば、教育費は積立貯蓄で充分!
学資保険やこども保険は、契約者が親、被保険者が子供の満期保険金や祝い金などが付いている生命保険で、契約者が死亡した場合、以後の保険料なしで満期まで契約が継続できます。
しかし、すでに遺族保障が充分な生命保険に加入しているならば、万一の事があっても、死亡保険金で生活費などが賄えるので(もちろん、学資分まで確保できている事が前提ですが)、学資保険にまわす保険料を、積立貯蓄などに回し、学資を確保するだけでなく、必要に応じて違う用途に使う事ができます。
定年後は”生きるリスク”も考慮しつつ、私的個人年金保険で充分!
死亡保険は遺族の生活費を確保するために加入します。
しかし、子供が独立、住宅ローンも終了。自分が万一のときに確保しなければならないのは、配偶者の生活費だけです。
もちろん、その他の経費が必要かもしれませんが、大きな死亡保障に加入する必要はないといえます。
よく、「葬式代の確保」を目的に加入する人もおられますが、定年後は“生きるリスク”を考慮して、現役のうちから、私的個人年金を用意するのがベターと言えそうです。
私的個人年金は、死亡保障が付いていませんが、満期になれば、年金として満期保険金を受けとる事ができます。できれば“確定年金”または“保証期間付き終身年金”にすれば確定期間内に死亡した場合でも、年金受取が保証されます。
リスクマネジメント視点から”生命保険”が必要なケース
上記3つのケースは、生命保険以外で確保する一例をご案内しましたが、必ずしもそれがベストとは言えません。
リスクマネジメントの視点から、リスクが発生する確率が低いけれど、発生した場合の経済的損失が大きい場合は、保険などで他人にリスクを移転する方法がベストと言われています。
この事から、癌や脳卒中など重病になった場合に備えている医療保険ならば、むしろ加入したほうが良いといえます。
また、定年後の死亡保障も”相続対策”として準備が必要な場合には、私的個人年金だけでは不十分な事も考えられます。
その他、注意しておきたい事
1)損害保険会社の医療系保険
生命保険の場合は、日額いくらと請求時にあらかじめ金額が確定していますが、損害保険の医療系保険には、“実損填補型”のものが多く、実際に支払った費用が給付されるので、治療費は自分で確保しておく必要があります。
つまり、自腹を切ったあとで給付されるという順序になります。
2)海外旅行中の傷害保険
海外旅行に行く場合に加入する保険として、海外旅行傷害保険があります。この保険は、他の傷害保険などと異なって、“細菌性食中毒”や“地震・津波・噴火”によるケガにも給付を受ける事ができます。もちろん、病気などにも対応しているものもあります。
また、クレジットカードなどのオプションに傷害保険がついている場合があります。しかし、現地で病気や怪我をした場合、日本と同じ感覚でいたら現地で思わぬ費用がかかったり、病気で日本まで搬送してもらうのに多大な費用がかかることがありますので海外旅行保険は、慎重に検討して加入して下さい。
今回ご案内した以外にも、生命保険でなければならないと思われているケースがありますが、決してそれだけではないことを知って下さい。
保険に加入しないこともベストな選択の時があります。もちろん、保険に加入しているだからこそ、安心して生活できる事も忘れてはなりません。
最後に、生命保険や損害保険は、保険給付を受けないで、保険料が無駄になった時こそ、ホントウは幸せだと感じるべきだと思います。
この記事へのコメントはありません。