【2012年 第3回】 静岡県の人口動態 エリア別コラム – 地域:東海甲信越
松山 智彦(マツヤマ トモヒコ)⇒プロフィール
地域コラムの東海甲信越を担当します松山です。私のコラムでは静岡県を中心にご案内をいたします。今回は人口動態、特に自然動態(出生、死亡)ではなく、社会動態(転入、転出)に絞りたいと思います。
今回は、人口動態のうち社会動態(転入、転出)をテーマにします。3月は卒業~進学、就職、人事異動など生活環境が最も変わる時期です。
○統計データより
今回使用するデータは、「平成22年国勢調査(移動人口集計結果)~静岡県の場合~」です。
これは5年毎に行われる国勢調査のデータから移動人口部分をピックアップしたものです。
これによると平成17年から現住所に住んでいる人の人口割合は77.9%(2,952,721人)です。つまり22.1%はなんらかの移動を行ない静岡県に住み始めた事になります。移動の内訳をみると、静岡県内からは16.8%、県外のうち他県からは4.7%、国外からは0.6%を占めています。
図1:移動の状況
一方、静岡県から県外で移動した人口は、174,102人で転入から転出を引いた人口、つまり社会動態は809人の転出増加になっています。
○どこから来て、どこへ行く(他県へ転出、他県から転入)
他県から転入してきた人のうち最も多い県は神奈川県(27,871人)、他県へ転出していった人が最も多いのは愛知県(25,624人)で、いずれもお隣の県です。ただ、図2をみて解るとおり、愛知県以外では東京・神奈川を中心とした首都圏が占めています。やはり仕事や学業で首都圏を目指す人が多いという事なのでしょうか?
図2:転入元都道府県、転出先都道府県割合
○他県からの人気?!熱海市vs浜松市(市長別の転入状況)
移動人口を市町別にみると、転入が最も多いのは浜松市の60,958人。うち県外からの転入は37,246人でこちらも県内1位です。因みに海外からは5,788人で1位。2位の静岡市2,656人と比べてダブルスコアの差がついています。ブラジル人が多い事でも有名なのも納得です。
一方総人口にしめる転入人口の割合が多いのは長泉町の20.5%、小山町の17.6%、清水町の17.5%でいずれも県東部が占めています。長泉町と清水町は新幹線三島駅から首都圏へ通勤、通学できる地域として、また三島市、沼津市のベットタウンとして発展しているのと予想します。
一方、熱海市は転入人口における県外からの割合が75.9%も最も高く、次に伊東市70.3%で、こちらは伊豆半島のリゾート地として永住する方が増えているのではないかと予想します。
静岡県の人口動態をみると、県西は海外からの労働環境を求め、県東は昼間は首都圏で仕事、夜は環境のいいところで生活するスタイルを求め、伊豆半島は、県外から余生を楽しむ事を求めて転入されているのかもしれません。
そういう意味では、静岡県は他県にない地域によってバラエティに富んている土地柄といえると思います。
○おまけ「就職率、労働力率日本一の静岡県」
図3:労働力率、就職率ベスト3
静岡県・・・というより中部地方という表現にここではしましょう。労働力率とは、15歳以上の人口に占める労働力人口の割合を言います。就職率は15歳以上に占める就職者数の割合を言います。労働力率と就職率のベスト3を占めています。いずれも全国平均を上回っています。
ここから解ることは、静岡県、愛知県、長野県は就業意欲が高く、実際に働いている人が多いと言えます。県民性なのかどうか判断が難しいところですが、静岡県の場合には、シルバー人材センターの市町村への設置率が全国唯一100%(平成22年現在)であり、高齢者の仕事を通じてのいきがい作りに力を入れている事が解ります。
少子高齢化で人口減が全国レベルで現実になりつつある今、高齢者の人材活用する事で次世代への技術移譲できる環境作りが必要だと思います。それが静岡県の人口減少を少しでも止めるきっかけになればと思います。
データ出所:「統計センター静岡」http://toukei.pref.shizuoka.jp/tokei/index.asp
「平成22年国勢調査(移動人口集計結果)~静岡県の場合~http://toukei.pref.shizuoka.jp/jinkoushugyouhan/data/02-010/documents/idou_gaiyou.pdf
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