【2015年 第6回 財務諸表を理解しよう!キャッシュフロー計算書編(1)】 イメージ図で理解すると投資指標って簡単!
伊藤 美恵 ⇒プロフィール
せっかく参加した株式セミナーで、聞いたことに対して理解出来ないと感じたことはありませんか?その原因のひとつが、実は投資指標なのです。投資指標が理解出来るだけで、難しいと感じるハードルは、ずっと低くなります。では、どうしたら、投資指標を理解出来るのでしょうか?投資指標を理解するためのキーポイントは、財務諸表を理解するのが近道です。今回は、キャッシュフロー計算書について、学んでみましょう。
投資指標を理解するには、貸借対照表と損益計算書を理解することが近道です。今回は、キャッシュフロー計算書についてお話しますが、実は言うと、一般的に使われる投資指標の中に、あまりキャッシュフロー計算書を元に計算する指標がありません。しかし、キャッシュフロー計算書そのものを理解することで、総合的に投資分析ができるようになります。そのため、キャッシュフロー計算書の基礎も押えておきましょう。なお、お勤めの会社などの財務がどうなっているのかについても分かるようになりますので、株式投資以外にも社会人の方々にも役に立ちますよ。
キャッシュフロー計算書で何が分かるの?
キャッシュフロー計算書(C/F:Cash Flow Statement)とは、一会計期間におけるキャッシュフローの状況を一定活動の区分別に表したものです。貸借対照表や損益計算書と同様に、企業活動全体の重要な情報を把握するものです。もっと分かりやすく言うと、会社に今、現金がいくらあるかについて分かる計算書です。ずばり、現金と現金同等物を指します。今動かせるお金がいくらあるのか、お金の増減が把握できる計算書です。
もっと詳しく言えば、今すぐ使えるお金がいくらあるか分かり、そして、そのキャッシュフローの内訳がどうなっているのかが分かるものるのが、キャッシュフロー計算書です。乱暴な言い方かもしれませんが、キャッシュフローは、お金の種類はこだわっていません。営業で稼いだお金でも、投資で稼いだお金でも、言ってしまえば、借金して借りたお金でも、何でも構わないのです。しかし、投資分析をするにおいては、そのキャッシュフローの内訳の内容は、とても重要ですので、勘違いしないでくださいね。借金したお金でも構わないとは言いましたが、それは、今すぐ使えるお金がいくらあるかどうか、キャッシュフロー計算書上で、今使えるお金としてカウントして良いという意味です。
実は、キャッシュと言うのは、企業にとって非常に重要なものなのです。企業は、いくら赤字でも、いくら借金があっても、キャッシュさえあれば、倒産しないで済むのです。「勘定合って銭足らず」という言葉を聞いたことがあるかと思いますが、儲かっていて利益がいくら沢山あっても、資金繰りが上手くいかなければ、倒産してしまうということです。なお、利益が沢山あるのに、資金繰りが上手くいかず倒産することを、「黒字倒産」と言います。
3種類のキャッシュフローがある
キャッシュフロー計算書には、3種類のキャッシュフローがあります。
① 営業キャッシュフロー
② 投資キャッシュフロー
③ 財務キャッシュフロー
一つ目の営業キャッシュフローは、本業で稼いだキャッシュフローです。二つ目は、投資キャッシュフローであり、設備投資や株式取得などの投資活動に関わるキャッシュフローです。三つ目は、財務キャッシュフローであり、財務に関わる借入れや増資、返済などに関係するキャッシュフローです。
営業キャッシュフローとは?
今回は、営業キャッシュフローについてお話します。営業キャッシュフローは、もちろん、本業で稼ぎ生み出したキャッシュを指します。そのため、営業キャッシュフローは、プラスの数字であることが前提です。営業キャッシュフローがマイナスになっているというのは、本業でお金を稼ぐことが出来ていないことを指します。つまり、営業キャッシュフローがマイナスと言うのは、営業赤字のことなのです。本業でキャッシュを生み出すことが出来ないということは、将来の利益獲得のための投資も出来ませんし、もちろん、借入金の返済も出来ません。5月のマイアドコラムでも、本業で生み出す利益の大切さについてお話しましたね。従って、営業キャッシュフローがプラスであることの大切さについても、お分かりいただけたかと思います。
さて次回は、残りの「投資キャッシュフロー」と「財務キャッシュフロー」についてお話します。
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