【2015年 第8回 財務諸表を理解しよう!キャッシュフロー計算書編(3)】 イメージ図で理解すると投資指標って簡単!
伊藤 美恵 ⇒プロフィール
せっかく参加した株式セミナーで、聞いたことに対して理解出来ないと感じたことはありませんか?その原因のひとつが、実は投資指標なのです。投資指標が理解出来るだけで、難しいと感じるハードルは、ずっと低くなります。では、どうしたら、投資指標を理解出来るのでしょうか?投資指標を理解するためのキーポイントは、財務諸表を理解するのが近道です。今回はフリーキャッシュフローについて、学んでみましょう。
フリーキャッシュフローとは?
キャッシュフローを見る上で、重要なのがフリーキャッシュフローです。なお、フリーキャッシュフローとは、営業キャッシュフローから投資キャッシュフローを差し引いて求められます。
少し、投資について勉強した方は、フリーキャッシュフローが重要であることを聞いたことがある方もいらっしゃることでしょう。しかし、キャッシュフローには3種類あるのに、フリーキャッシュフローには、営業キャッシュフローと投資キャッシュフローしか出てまいりません。財務キャッシュフローだけが、なぜ仲間外れなのか不思議に思ったことはありませんか。そして、なぜフリーキャッシュフローが重要と言われるのだろうと疑問に思ったことは有りませんか?
実は、これには理由があったのです。フリーキャッシュフローは、フリーと名前が付く通り、企業が自由に使えるお金のことです。つまり、営業キャッシュフローから投資キャッシュフローを差し引いてプラスになった場合は、自由に使えるお金があるということを示し、更に企業の将来のために投資に回したり、財務キャッシュフローの改善にも使えるということです。そのため、フリーキャッシュフローの計算には、財務キャッシュフローが含まれていないのです。
一方、フリーキャッシュフローがマイナスの場合は、企業の将来のために更に投資に回すことが難しいこと、財務キャッシュフローの改善にお金が使えないということを指します。つまり、資金繰りをしないといけないことを指します。借入金を返すため、また借入をする必要があるということです。
フリーキャッシュフローのイメージ図で確認しよう
下記のフリーキャッシュフローのイメージ図で確認すると、更に理解力が進むでしょう。
前々回に、営業キャッシュフローは本業で稼ぎだしたお金だとお話しましたね。そして、前回、投資キャッシュフローは設備投資や株式取得など、投資活動に関わるお金だとお話しました。繰り返しとなりますが、フリーキャッシュフローとは、営業キャッシュフローから投資キャッシュフローを差し引いたものです。そもそも、本業で生み出した営業キャッシュフローがマイナスであれば、フリーキャッシュフローは生まれてきません。
フリーキャッシュフローがプラスであるというのは、本業できちんと稼ぎ出すことが出来ている証であり、更に将来に対して投資を行っても、お金が余っているということなのです。
この余ったお金をフリーキャッシュフローと言い、このお金は更に投資に充てることも出来ますし、財務キャッシュフロー改善のために、借入金の返済に利用することも出来ます。更に株主への配当として還元することも出来ますし、企業の将来の備えのために手元に残すことも出来る訳です。フリーキャッシュフローがプラスの企業は、余裕を持って経営が出来ることに繋がりますから、フリーキャッシュフローが重要だという理由もご理解頂けたのではないでしょうか。
ただし、例外もあります。企業によっては、一時期、フリーキャッシュフローがマイナスになることもあります。例えば、経営戦略として、経営店舗を急激に拡大させる場合などが、これにあたります。例えば、人気カフェチェーンが、新規オープンを毎年5店舗していたとします。ただし、これからは郊外にも進出しようと思い、今年は50店舗オープンさせようとした場合などがこれにあたります。つまり将来、営業キャッシュフローを増やすために先行投資をしたことが、この例です。この場合、単年度で見ると、営業キャッシュフローよりも投資キャッシュフローが上回り、フリーキャッシュフローがマイナスになることもあります。この場合は、翌年からの動向についても追いかけていく必要がありますね。
なぜフリーキャッシュフローが重要なのかについての理解が出来ると、有価証券報告書を見ることも楽しくなりますね。
次回から、ついに、投資指標について入ってまいります。次回までに、貸借対照表と損益計算書のコラムを復習してみてね。来月は、株価収益率(PER)についてお話致します。
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