【2006年 第1回】相続とは成功体験を引き継ぐこと 相続
上津原 章(ウエツハラ アキラ)⇒ プロフィール
私が税理士事務所に勤めていた13年前。
私は上司に言われ相続対策の担当になりました。
最初の仕事は、お客様の葬儀に上司と共に参列し、上司が相続申告までのスケジュールを説明するのを、ご親族の方と一緒になってお聞きすることでした。
相続申告は、相続人の皆様と話し合いをしながら、10ヶ月かけて行います。
その間、預金通帳などの財産を整理し、遺言書があれば、第三者の立会いの上開封します。
自宅などの権利書がないかどうか、借入金や未払い金がないかも確認します。
正確さも求められ、しかも時間がかかることから、辛抱強くないと務まらない仕事です。
相続は年間4万7千件(中国地方)
では、相続はどのくらいの頻度で起こっているのでしょうか。
国税庁の統計資料を見ますと、平成16年度の相続税の申告数は、中国地方で2,394件、四国地方で1,498件です。
ちなみに、相続人の数は中国地方で6,733人、四国地方で4,261人となっています。
相続税の申告数は実際の相続のおよそ5%といわれています。
大まかに計算すると、相続の件数は中国地方で年間4万7千件、四国地方で年間3万件といったことになります。
結構多いですね。
「争族」にならないためには
誰もが、相続をもめ事なく終えたいと思っています。
ところが、相続人同士で「争族」になることも少なくありません。
一説によると、税務署に申告数の2倍以上のトラブルが、裁判所に持ち込まれるといわれています。
では、「争族」にならないためにはどうすればいいでしょう。
遺言書などの書面をそろえておくことも大事です。
でも一番良いのは、まとまった休暇が取れる時期に、直接本人の意思を確認して家族全員で話し合うことではないでしょうか。
財産のことだけでなく家族の役割についても話し合っておきたいですね。
成功体験を引き継ぐ
本来相続というのは、英語で「SUCCESSION」といわれるように、なくなられた方の成功体験を引き継ぐといった意味も込められています。
成功体験は、目に見える財産だけではなく、人間関係といった目に見えないものも含まれます。
相続は、亡くなられた方から得られた恩恵を体で感じ取るための大事な機会かもしれませんね。
【06年07月25日】
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