【2015年 第3回 人間(じんかん)到る所青山(せいざん)あり】
吉田松陰の言葉からから考えるライフプラン
上津原 章 ⇒プロフィール
こんにちは。山口県のファイナンシャルプランナー、上津原と申します。もうすぐ4月になり、私と仕事でかかわる方々から人事異動の話をお聞きすることが多くなりました。読者の皆様の中にも、これから新しい場所での活躍を誓っている方が少なくないのではないでしょうか。新しい場所での生活は何かと不安なものですが、考え方を変えれば今までと違ったことができるということかもしれませんね。
さて、今日は吉田松陰の思想に大きな影響を与えたといわれる、僧「月性(げっしょう)」の言葉からライフプランについて考えてみたいと思います。
<表題の言葉について>
表題の言葉は、月性の有名な詩「壁に題す」の結びの言葉です。月性が27歳の時、大阪で学ぶために故郷を旅立つ時の詩です。詩吟をたしなまれている方であればよく吟じられる定番の詩ですので、皆様も一度はお聞きになられたことがあるのではないでしょうか。それでは詩の全文を詠みます。
男児志を立てて郷関を出ず
学若し成る無くんば死すとも還らず
骨を埋むるに何を期せん墳墓の地に
人間到る所青山あり
<筆者による意訳>
男たるもの志を立てて故郷を出たからには
修めようとしている学問を学びきるまでは死んでも還らないつもりである
死んで骨を埋める場所はどこであってもよいではないか
人間はどこに行っても自分が活躍できる場所があるのだから
<僧月性と吉田松陰>
僧月性は、現在の山口県柳井市遠崎で生まれました。
少年時代は腕白者であったようですが、母や祖父の影響により勉学に励むようになり、九州や関西などに遊学されています。長崎を訪れた時にオランダの船を見てその規模や装備に驚き、そのことがやがて彼が国防について学ぶきっかけになったといわれています。
大河ドラマ「花燃ゆ」でも、月性の元で学んだ者を松下村塾に受け入れるシーンがあります。月性と吉田松陰とは国防の重要性を強く感じている点で共通項があります。吉田松陰も、萩に月性を招いて国防のことについて松下村塾の塾生などに講義をさせています。
<この詩から学ぶライフプランニング>
人生はチャレンジの連続といわれます。挑戦をする中でいろいろなことを学び、やがて一つのことに秀でていくのではないでしょうか。
先日、弊社の事務所に税理士志望の大学生がお母様と一緒に来られました。その時に彼は、税理士として会社の経営者にいろいろなアドバイスができるようになりたいといわれていました。2時間余りの面談の中で、私が税理士事務所に在籍していた時のテキストをお見せしたり、体験談などをお話ししたりしました。ふと、税理士や経営コンサルタントを目指していた昔の私を思い出し、胸が熱くなりました。そして、その大学生に対して
「なんとしても志を果たしてほしい。」と思ったものでした。
私自身は税理士を志したものの、社会人になって入った税理士事務所の上司の指南により、経営コンサルタントではなく、資産家向けのファイナンシャルプランの専門家になるように教育を受けました。その過程で、思うことがあってファイナンシャルプランナーの道を究めようと決意し、CFP(R)を取得しました。そして今日に至っております。
人間到る所青山ありと申しますが、自分の今の居場所を受け入れて前向きに取り組むことによって、あるべき姿に近づけることをこれまでの経験から実感します。
皆様の、これからのご活躍を心からお祈りして結びの言葉と代えさせていただきます。
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