天を怨(うら)みず【2015年 第5回】

【2015年 第5回 天を怨(うら)みず】
吉田松陰の言葉からから考えるライフプラン

上津原 章 ⇒プロフィール

こんにちは。山口県のファイナンシャルプランナー、上津原と申します.
大河ドラマ「花燃ゆ」で描かれた吉田寅次郎(以下:松陰先生)の最期は、本当に潔いというか、正々堂々としていたように思います。私たちも人生の最後まで潔くありたいと思うものの、普段の生活の中ではそうはいかないことも多々あるのではないでしょうか。
さて、松陰先生の言葉から考えるライフプランコラムですが、今回は松陰先生が多大なる影響を受けた中国の思想家「孟子」のことばについて取り上げたいと思います。

君子は天を怨みず、人を咎(とが)めず

「花燃ゆ」の中でも、野山獄で孟子について囚人たちに講義をする場面が出てきます。その時の講義録が「講孟箚記(こうもうさっき)」となって今日も拝読することができます。それでは、その中の一文を見ていきます。

<原文>「君子は天を怨みず、人を咎(とが)めず」

※講孟箚記(こうもうさっき)公孫丑(こうそんちゅう)下 十三章

<筆者意訳> 行動や心が立派な人は、国家や世の中の動きを恨んだりせず、政治家や公務員など世の中のために動いている人を咎めたりしないものだ。幕末は、ペリー来航を発端とした開国、尊皇攘夷運動、倒幕運動が起こってきています。松陰先生もペリーの二度目の来航の時に蒸気船に乗り込んだり、幕府の要人暗殺を企画したりしています。はたから見れば、どう考えても無茶な行いです。とはいうものの、今日まで松陰先生のことが語り継がれるのは、「この国を良くしたい」という思いを、伊藤博文など多くの門下生が分かっていたからにほかなりません。

その思いが門下生に伝わったのは、普段からの自己研さんがあってこそではないでしょうか。獄中であっても、読みたい本があったら手紙で申し送りをして取り寄せて読んでいます。野山獄では、獄中の囚人に講義をされています。周りの環境がどうであれ、ひたすら学びの場を求める続ける姿勢にはただただ感銘を受けます。

<この言葉から考えるライフプラン>

家計に大きく影響する事柄には、私たちの力ではどうにもならなかったりすることが多々あります。

お金の価値についていうと、1ドル=124円(2015年5月28日現在)になりました。およそ8年ぶりです。これに伴い、小麦、大豆、トウモロコシなどの輸入品の物価がどんどん上がっていきます。また、消費税率も昨年8%に上がりましたが、10%まで上がることが確定しています。

たとえ、「天を怨みず」という意味は頭で分かっていたとしても、

「円安のため、食料品の価格が上がり、生活が苦しくなった」

「受け取れる年金の額が、年々少なくなった」

といったように、実生活の中では、いくらでも不平不満は出てきます。

金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査」[2014年:二人以上世帯]をみても、

家計運営の評価…「思ったより苦しかった」52.6%

元本割れを起こす可能性があるが、収益性の高いと見込まれる金融商品の保有…「しようとは全く思わない」81.5%

となっています。

「周りは変えられなくても、自分は変わることができる。」

とよくいわれますが、家計が苦しい状況であっても、なかなか変われないのが私たちの心のようです。

苦しい時や、不平不満を言いたい時であったとしても、メリハリのある家計管理や計画的な資産運用など、普段から自分たちの力で何とかできることがあるのではないでしょうか。

将来を見据えた、お金に関する普段からの取り組みが、5年後、10年後に経済的な豊かさの違いになって現れることを、弊社のお客様を見ていて実感します。

 

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