【2015年 第6回 おもしろくなき世をおもしろく】
吉田松陰の言葉からから考えるライフプラン
上津原 章 ⇒プロフィール
こんにちは。山口県のファイナンシャルプランナー、上津原と申します。
今回の松陰先生の言葉から考えるコラムは、先生の門下生で、松下村塾の四天王といわれていた高杉晋作の言葉について考えてみたいと思います。
高杉晋作とは
高杉晋作といえば、奇兵隊を連想される方が少なくないのではないでしょうか。外国船のうち払いがきっかけで起こった下関戦争に備えて、商人や農民など、身分にかかわらず戦いたいと思っている人で作った軍隊です。
幕府の使節団として上海に渡り、アヘン戦争をきっかけに弱体化した清国(今の中華人民共和国)目の当たりにしてきた彼だからこそ、常識にとらわれない考えが生まれ、実現できたように感じます。
冒頭の言葉は、高杉晋作の辞世の句ともいわれています。彼は、第二次長州征伐(長州藩の呼び方:四境戦争)の最中に結核で亡くなります。
彼は長州藩でも大組といわれる上級武士の出になります。江戸時代はよほどのことがない限り、家の地位が末代まで続くことになります。彼であれば何もしなくても高い身分が保証され、武士の中でも豊かな暮らしを送ることができたことでしょう。
それでも、藩校明倫館での学びだけでは飽き足らず、久坂玄瑞に連れられるように吉田松陰主宰の松下村塾に入ることとなります。
江戸の獄中にいた吉田松陰先生から、次のような言葉を受け取っています。
「死して不朽の見込みあらばいつでも死ぬべし。
生きて大業の見込みあらばいつでも生くべし。」
この言葉が、彼のその後の人生に大きな影響を与えたのは言うまでもないでしょう。その後は倒幕の中心人物の一人となり、外国船打ち払いや下関戦争、四境戦争(いわゆる長州征伐)に深くかかわることになります。残念ながら明治時代の幕開けを見ることはかないませんでしたが、彼の志は他の長州藩士に受け継がれることになります。
この言葉から学ぶライフプラン
今の世の中は、私たちにしてみれば「おもしろくなきこと」が山ほどあるように感じられます。例えば、トマ・ピケティの著書「21世紀の資本」を読んでみても、資産運用をするにしてもお金をたくさん持っている方ほど資産運用の利回りが高くなると書かれています。また、アベノミクス効果を論じる際によく言われる、大企業を支援すればやがて中小企業も恩恵を受けるといわれる「トリクルダウン効果」も、恩恵を受けているのはごく一部の企業だという話をお聞きします。
では、幕末は面白い世の中であったかというと、生まれた時の家の身分によって将来が決まってしまうことから考えても、必ずしもそうではなかったのではないでしょうか。
面白くないから不平を言うだけであれば、ますます世の中に取り残されてしまいます。同じ世の中を生きるのであれば、
「自分の意思をもって、自分のできることで世の中を変えていく。」
といった気概を持ちたいものです。ライフプランを考えるためにライフイベント表を作成する際は、今の延長線上で未来のことを考えるのではなく、自分自身が願っている遠い未来から逆算して今を考える方がより実現可能なものになるといわれています。
未来から逆算する時、実現可能性を考えてしまうと思考が停止してしまいます。ライフイベント表を作成する際は、失敗してもいいという気持ちで自分の願望を書くくらいでちょうどよいようです。
高杉晋作も、下関戦争では決定的な敗北を喫しています。その決定的な敗北があったからこそ四境戦争で勝利をおさめ、倒幕につながったのではないでしょうか。高杉晋作にとって遠い未来がどのようなものであったかは知る由もありませんが、倒幕という彼の志は果たされたのではないでしょうか。
「おもしろくなき世をおもしろく」
というのは、今の私たちだからこそ大事にしたい心構えであるように感じます。
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