【2015年 第10回 「至誠にして動かざるものは未だこれあらざるなり」】
吉田松陰の言葉からから考えるライフプラン
上津原 章 ⇒プロフィール
こんにちは。山口県のファイナンシャルプランナー、上津原章と申します。
今回の松陰先生の言葉から考えるコラムでは、松陰先生が小田村伊之助(楫取素彦)に送った言葉について取り上げたいと思います。
表題の言葉について
大河ドラマ「花燃ゆ」も、主な舞台が山口県から群馬県に移りました。県令(現在でいうところの県知事)になった楫取素彦が、群馬県の経済発展を図るべく精力的に動いています。精力的には動いているものの、職員への指示をたらい回しにされるなどの妨害もありました。それでも今日のように群馬県が発展したのには、様々な妨害などをものともせずに、楫取素彦が製糸業の振興など地域のためにさまざまな手を打ってきたからにほかなりません。
さて、表題の言葉「至誠にして動かざるものは未だこれあらざるなり」について考えてみたいと思います。吉田松陰が、処刑される前に託した孟子の言葉といわれています。
意訳しますと、次のとおりです。
「誠を尽くして、それでも心が動かなかった人が今までいただろうか。(いや、いるはずがない)」
松陰先生は弟子の資質を見抜く名人だったことを考えると、小田村伊之助は、どのような立場にたっても、誠心誠意を尽くす人物であったことがうかがえます。大河ドラマでの役柄を見ても、地位とか名誉とかにとらわれず、与えられた場所や役割を真正面から受け止めて危機を乗り越えたり人心をつかんだりするなどの結果を出しています。
本来ならば、もっと高い地位で国全体を大きく動かすような仕事ができたのでしょう。それでも、群馬県や山口県といった一地域にこだわることをよしとするところに、人間としての器の大きさを感じるのは私だけでしょうか。
この言葉から学ぶライフプラン
この言葉からは、二つのことについて考えてみたいと思います。
一つ目は、仕事の悩みについてです。
ライフプランの相談では、時折仕事に関する悩みをお聴きすることがあります。今の仕事がハードであること、待遇面が思わしくない、などといった不満です。今日はいわゆるブラック企業の問題もあります。よって、まずは相談者のお気持ちを察しながらじっくりお話をお聴きしています。
本当に大変な方であれば、よりよい条件での転職をお勧めすることもあります。ただ、転職がうまくいっても一時的な収入低下などの理由で違和感を持つ方もいらっしゃいます。よって、私自身の今までの経験も踏まえ、
「まずは、今の職場や仕事で最善を尽くす。」
ことが大事だとお伝えしています。誠を尽くすことで、職場の雰囲気が変わったり、ふとしたことから新しい職場との出会いがあったりといったことが、弊社のお客様でもありました。
もう一つは、夢をかなえることについてです。
夢といえば、毎年家族旅行に行きたい、マイホームが欲しいといった今の延長線上で努力すれば可能性が開けるものもあれば、自分の技術を活かして起業したいといったように実行したとしても結果が不確実なものもあります。
夢は一人の力ではかなわないのではないでしょうか。仕事から収入を得るにしても職場の仲間との協力が必要になります。お金をやりくりするにしても、家計を管理している人の苦労をわかる人がいて初めてやりくりがうまくいくように感じます。
「至誠にして動かざるものは未だこれあらざるなり」
とあるように、まずは周りにいる人に思いをはせながら、一所懸命誠意をこめてできることから取り組んでみませんか。結果はどうであれ、取り組んだことがあなたの経験値になることには間違いがありません。
この記事へのコメントはありません。